ニュースレター Vol.5「鍾馗」－根付専門店「提物屋」SAGEMONOYA

提物屋ニュースレターバックナンバー Vol.5

桜前線は、順調に北上し、いよいよ五月の到来ですね。

五日の端午の節句にむけ、各地では鎧兜など、武具類とともに
学業成就、厄病除の神様として鍾馗さまの御姿が飾られています。

鍾馗　根付　木刻　18世紀　112㎜

鍾馗さまは、もともと玄宗皇帝の夢に現れ
悪病を祓ったという伝説があるため
京都などでは、瓦屋根の家を見上げると

根付も、鍾馗さまのデザインは、凝ったものも多く
江戸時代に相当人気のあった意匠であることが推測できます。

鍾馗と鬼　根付　木刻　18世紀　61㎜

天明元年（1781）に発刊された『装剣奇賞』には法眼周山の鍾馗と鬼の図が掲載されております。

似たデザインの根付です。

鍾馗と鬼　根付　木刻　18世紀　61㎜

同書に記載のある尾州名護（古）の根付師
為隆（ためたか）の鍾馗は
剣を研ぐデザインのものがあります。

これは、現在東京芸大の美術館で特別展が行われている
雪村（1504?~1589）の絵にもみられるスタイルで
剣研鍾馗図として有名です。

同書に記載のある尾州名護（古）の根付師
為隆（ためたか）の鍾馗は
剣を研ぐデザインのものがあります。

これは、現在東京芸大の美術館で特別展が行われている
雪村（1504?~1589）の絵にもみられるスタイルで
剣研鍾馗図として有名です。

剣研鍾馗　根付　銘　為隆　木刻　18世紀　45㎜

為隆の弟子、忠利にも同じ意匠の根付がみられます。

それはフランスの日本美術愛好家として名高い
ルイ・ゴンス/(Gonse, Louis, 1846-1921)の
根付コレクションに入っていたことが記録されています。
手書きの部分はゴンスの直筆メモと思われます。

提物屋　吉田ゆか里